作成日
2006-05-22
変更日
2006-05-24

Webの制作物とライセンス

HTML版はしがき

これは、情報学と云う科目の、情報倫理に関するレポート課題として提出した原稿をHTMLでマーク付けした文書です。

3時間程ででっち上げた物なので中身はアレですが、敢えて内容を修正していません。「結論」の章は真面目に書いていますが、その他は可なり好い加減です。

序論

一時期、Web上では制作者と閲覧者は明確に区別されていた。制作者はコンテンツを提供し、閲覧者はそれを見る、と云う棲み分けである。しかし近年、WebLogによって、閲覧者がコンテンツの制作者となるなど、この境界線は曖昧になっている。また、制作者はさまざまなコンテンツを手軽かつ大量に頒布出来るようになり、制作物の数も、頒布の機会も飛躍的に増大した。

一人一人が容易にコンテンツ制作者となれる現在、コンテンツをどのように他者に提供するか、と云う点はより重要になってくることになろう。しかしながら、制作物の管理、特に他者へのライセンスについては案外意識されていない事が多い。WebLogの大半は記事の再利用や派生作品の作成について何も明記が無い、と云うものが殆どである。

ここでは、制作者の観点からみたライセンス形態の過去と現在について例を紹介し、現在、或程度の成功を収めているライセンスの一つである Creative Commons について述べる。

過去のライセンス形態

「フリー」な流通を目指したGPL

Webの初期に登場した概念として「コピーレフト」を挙げる事が出来る。これは、制作物の自由な流通、と云う要請に基づいて考慮されたものである。

それまで、制作物の自由な流通を行う為には、制作物をパブリックドメイン(著作権放棄)とする事が一般的だったが、著作者の尊重が失われたり、自由な流通を無視した利用がされる等の問題が発生した。そこで、著作権を放棄せず、「ライセンス」と云う形態で自由な流通を行えるようにする手法が求められた。

この概念に則って登場し、現在でも多くの支持を得ているのがGPLである。GPLはソフトウェアの配布を目的に作成され、誰でも自由に複製、配布、改変、(有償、無償を問わない)頒布が可能である、と云うライセンスである。また、頒布の際にはソースコードを必ず公開しなければならない、派生品の配布時にもGPLライセンスとしなければならない等、単に「無償」と云う枠に留まらない「フリー」なソフトウェアの流通に貢献した。gcc をはじめとして、いくつかの重要なソフトウェアがGPLライセンスによって提供され、Linuxディストリビューション、Mac OS X等で採用されている。また、GPLは専らソフトウェアのライセンスとして考案されたが、GFDLと呼ばれる、文書の自由な流通に特化したライセンスも存在する。

GPLの問題点

GPL、GFDLは、いくつかの問題点がある。

まず、英語版のオリジナルしか効力が認められない、と云う点は、日本語話者にとっては負担となろう(「参考」訳として、日本語訳も存在するが、飽くまでも効力を発揮するのは英語版のみである)。

また、日本の法律との整合性が考慮されていない、と云う点も問題である。実際のライセンス管理においては、当然法律的にも妥当性をもつものでなければならず、法的な効力について疑問の残るGPL/GFDLライセンスは必ずしも最適とは言えない。

さらに、「フリー」な流通以外のライセンス形態が認められていない、と云う点はGPL/GFDLの特長でもあるが、複雑な権利関係のあるコンテンツの場合、必ずしも「フリー」が望まれない場合もあり、そういった要請には原理的に応える事が出来ない。

現在のライセンス形態

自由利用マーク

コンテンツ制作者が幅広い選択肢の中からライセンスを規定できる事、そして、制作者、利用者(閲覧者、制作者の双方を含む。以下同じ)にとって分かり易い事は、ライセンスを利用する上で大きなメリットとなり得る。また、自国での法律的な整合性も、実際の利用においては必要となるだろう。

こうした点から見て、自由利用マークは或程度の成功を収めたと言える。これは、文化庁が作成した、利用範囲や目的に応じて、制作者が利用許可範囲をアイコンで示すものである。コンテンツ利用者にとっても、許可範囲が分かり易く示されており、理解が容易であった。認知は進まなかったが、積極的に制作物にライセンスを与える、と云う意識付けのきっかけを作った功績は大きかった。

Creative Commons

法学教授のLawrence Lessigが中心となって作成され、2002年に公開されたライセンスがCreative Commons(以下、CC)である。文書、画像、音声等の制作物を幅広く流通させる、と云う「コピーレフト」の思想を継承したライセンスとして作成された。

 CCの大きな成果は、制作者にとっても利用者にとっても理解し易いライセンス手法を考案した事である。制作者は、「あなたの作品の営利目的利用を許しますか?」等と云った質問に「はい」、「いいえ」で答えるだけで、ライセンスを作成出来る。作成されたライセンスは法的にも有効となっており、XMLを使って文書中に埋め込む事も可能である。一方、利用者は、自分がどこまで制作物を利用出来るのかを、見易いアイコンとともに簡単に理解出来るようになっている。

CCは日本の法律に準拠する様に修正され、2004年に日本版が公開された。

Creative Commons のメリット

CCは、前述した「分かり易さ」に加え、現代のWeb事情にマッチしたライセンスの主張方法を提供している事も評価出来る。すなわち、XML形式でのライセンス埋め込みが可能である事である。

XMLは「データの交換」に主眼を置いて開発されており、既にXHTMLRSS、Atom等で利用されている。特にRSSはWebLogユーザの爆発的な増加によって広く普及した。これらのXMLアプリケーションにCCライセンスを埋め込む事で、人間だけでなくXML処理系にもライセンスが一目瞭然となり、XMLを介したコンテンツの連携が、クリアなライセンスの下でスムーズに行われる、と云うメリットをもたらす事になろう。

結論

現状、Webで最も多いライセンス形態は「All Rights Reserved」である。これは「全ての版権を保有する」と云う意味である。

前述したように、コンテンツの中には「フリー」で流通させる事が難しいものが存在するのは確かである。しかしながら、「All Rights Reserved」は限定的な流通すらも停止させてしまう、非常に強力なライセンスである事はもっと意識されて良い。

CCを初めとしたライセンス形態の登場により、制作者がコンテンツを自由な裁量でライセンスする為の土台は整いつつある。制作者の視点から、自分の作品をどのようにWebで公開するのか、どのように閲覧者に見て貰うのかを考える必要があるだろう。